不忍池の思い出
「巨大な鯉の話」
私が小学校の5~6年生のころ、今から50年ほど前の話です。
不忍池では真ん中の弁天様に行くときに小さな橋が架かっているのですが、そこの橋の下のところに泥で堤防を作って塞いで、魚を放したようでした。
当時の不忍池では改修工事が行なわれ、池半分の水を抜き、動物園側に魚を移したようです。
私は魚釣りが好きだったこともあり、試しに持っていた70~80センチの四角い四手網をもって橋の上から四手網を降ろしたところ、1メートルはあるかと思える大きな鯉が四手網に入ってしまいました。
頭の方は網に入ったのですが、鯉が大きすぎて網に入りきらず、持ち上げることも、動くこともできない中、魚と目が合ってしまい恐怖心を覚えたほどです。
するといつの間にか橋の上には人だかりが出来てしまい、「すごい!すごい!」と皆でみています。
魚の頭が深く網に入っているため、魚を逃がすこともできず、魚には睨まれ野次馬には騒がれ、「どうしよう…、どうしよう…」と困り果てたことが今でも記憶に残っています。
結果的には魚の方でうまく逃げてくれたので本当に助かりました。
普通は4~5センチくらいの小魚しか取れない池なので、同じように魚とりをしていた子ども達もやってきて、「今のはすごく大きかった!」と口々に話し、しばらくの間、その話でもちきりになりました。