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東京タワーの話

小さな冒険物語

小学5~6年生ころのことです。
いつも小学校の窓から作っている様子が見えた東京タワーが完成し、一度は行ってみたいと思っていた私は、幼馴染の友達と「見えるんだから、たぶん歩いていけるだろう」と軽い気持ちで、二人で東京タワーを目指して出かけることにしました。

浅草から上野を通って歩いていくと、だんだん東京タワーが大きくなって見えるので、「もう少しだ!」と元気をだして歩き続けると、ようやく東京タワーに着いたのです。
当時タワーの上まで歩いて上るとタダだったような気がするのですが、お金を持っていない二人だったので、そこからまた歩いて階段を登り、必死の思いで東京タワーの展望台までたどり着きました。苦労して登ったかいもあってその眺望は、本当に素晴らしいものでした。
けれども私が子供心に一番思ったことは、家の近所から東京タワーは見えるのに、東京タワーの展望台からは自分の家は全然みえないんだなあ~と言うことでした。どっちの方角かさえも分かりません。
歩いて登って身体がへたばっているので、その疲れがとれるまで二人でのんびりすごし、また階段を歩いて降りてきたのでした。

当時はお金がないのが当たり前の時代だったので、それほど大変なこととは思いませんでした。そのころの遠足の集合写真を見ても、同級生は皆ズボンのひざにつぎあてをしている、そんな時代でした。
それより東京タワーの話で一番大変だったのは帰り道のことでした。
来るときは東京タワーが見えていたので困りませんでしたが、帰りは目指すべき目印がないので、タワーの下に降りてからが本当に苦労しました。
どの方向にいったらいいのか全くわからないので、きた方向にあった建物を思い出しながら、あっちこっちさまよい歩き「とんでもなく遠いところに来てしまったんだ!」とそのときはじめて後悔しました。
「浅草はどっちですか?」とまわりの大人に聞きながら、どうにかこうにかよれよれになりながら、二人して歩いて家まで帰り着いたという、子供の頃の冒険物語です。

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