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中学の時の立石の思い出

「本当に懐かしい場所」

これは私が墨田区寺島にすんでいたころ(中学2年くらい)のお話です。

当時住んでいたところから電車で5~6駅目くらいでしょうか、「立石」という駅があり、そこから歩いて10分ほどのところに、幅1メートルくらいの「どぶ川」があって、ふだんは水があるかないかのような浅い川なのです。

けれども雨が降るとその川の水がふえて流れの速い川に変わります。

なぜかというと川の上流に大きなため池があって、雨が降ると増水した水が全部その川を通り本流の方に流れるからでした。

川はコンクリートで護岸工事がなされていて街の中を通る川でした。

たまたま日曜日に、私は上流にあったため池に釣りに行き、帰りにその川のところを通りかると、地元の子供たち5~6人がそれぞれ四手網(という網)で下流に向けて網を入れ1分ほどおいてそれを上げると、下の本流からのぼってきたフナがいくつか入るという魚とりをしていたのでした。そのやり方を見て、面白いと思った私は雨がたくさん降った次の日曜日に網をもって出かけました。

そこの場所に行くと私一人だったのですが、この前子供たちがやっていたような魚とりをはじめてみると半日くらいで、なんと50~60匹くらいのフナが獲れたのです。すると其れを見ていた大人の人が同じように網をもって魚を取りをはじめたのですが、その人は下手なのか全然取れなかったのです。そして私のバケツの中を覗き込み、「その魚を売ってくれないか?」と話しかけてきたのです。「いいよ!」と、はなしがまとまり、当時のお金で700~800円くらいでフナが売れ、当時としては破格のアルバイトになりました。

次の週の日曜日にその川に行くと、そのおじさんはバケツを持ってくると「とれた魚はこのバケツに入れてみんな自分に売ってくれ」というのです。そのおじさんは毎日その場所を通って現場で働くひとらしく、仕事帰りにはまたそこを通って風呂屋に行くような感じでした。そんなこんなで私は名前も知らないその人にとれた魚を渡してはアルバイト代を稼ぐようになりました。そのかわり、「俺の後をついてくるんじゃねえぞ!」と強く言われました。私はいいアルバイトを失いたくなかったのでおじさんの言いつけを守りましたが、今思うと、そのひとはそのバケツを持って近くの佃煮屋に行ってフナを売っていたのではないかと思います。その近所には佃煮屋が何件かあったからです。そして風呂から上がるとその売ったお金で一杯ひっかけて帰ったのではないかと思っています。

雨が降った次の日曜日にはいつもその場所にでかけ、ひと夏の間に夏休みも入れて15回くらいそのおじさんに魚を渡しました。

アルバイトしたお金は家に入れたり小遣いにしたりして使うことが多く、魚とりに行く時、行くだけの切符しか買えないときもありました。もしおじさんの気が変わったら、帰りは歩いて帰らなくてはなりません。そんな時は心配でドキドキしましたが、「絶対来る!」と信じて待っていると、おじさんも必ずやってくるといういい商売相手でした。

けれどもその後、上流の池が埋め立てられて宅地になってしまったので、雨が降っても本流から魚が登らなくなってしまい、本当にひと夏の出来事で終わってしまいました。

おじさんはフナのおかげで飲み代ができ、私も小遣い稼ぎができて、おたがいに得をした

楽しい思い出なので、何十年もたってはいますが本当に懐かしい場所なので、いつかもう一度行ってみたいと思っています。

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